カテゴリー「旅行・地域」の記事

2012/09/09

特撮博物館と大伴昌司展

 8日(土)から9日(日)にかけて上京、東京都現代美術館の「特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」と、弥生美術館の「奇っ怪紳士! 怪獣博士! 大伴昌司の大図解」展を見物してきた。

「特撮博物館」では、大学時代からの友人であるSF作家タタツシンイチに、ひとかたならぬ世話になった。これが二度目の観覧という彼が同行してくれたおかげで、終始とまどうことなくスムーズに見物することができた。

 事前に聞いてはいたが、展示物のすさまじいまでの充実度は圧巻の一言に尽きる。混雑を避け夏休み直後の土曜日を選んだことが幸いして撮影可能エリア以外ではほとんど行列には遭遇しなかったにもかかわらず、一通り見物するのに4時間ほど要した。激しい損傷が古武士のような風格を帯びさせているメカゴジラに感嘆したり復元ではあるが鈍い銀色に輝く巨大なMJ号に陶然となったり、戦車系プロップのパーツを覗き込んでどういう市販模型の流用か推理したり――時間と体力が許せば2、3日だって過ごせてしまいそうだ。バーチャルなデータなどではなく現にそこにある物を撮影するという、ミニチュア特撮ならではの楽しさを満喫させてもらった。

 タタツとは「東映系作品のプロップがないね」などと話していたのだが、そこまで盛り込んだら1日ではとても見きれなくなってしまうことだろう。そう考えると、もう少し小規模でも常設で展示物を入れ替えていけるような場所ができればなあと思わずにはいられない。もしそれが実現すれば、押川春浪以来の万能戦艦の歴史だとか、パラボラ光線兵器の発展を追うとか、もっともっと凝った展示を試みることもできるのではないだろうか。今回の催しはかなり好評のようなので、何らかの形で次につながって欲しいと強く思う。

 次につなげるという意味では、単なる懐古的な展示にとどまらず新撮作品の「巨神兵東京に現る」を製作上映したことは、英断であった。過去の技術の再現だけではなく、さまざまに新しい試みが取り入れられていたのが素晴らしく、撮影現場の熱気をまざまざと伝えるメイキングビデオにも感動させられた。

 しかしながら、純粋に映像作品としてみた「巨神兵東京に現る」には、少々疑問を感じずにはいられなかった。わずか9分の上映時間という制約があるにしても、巨神兵襲来に至る状況をナレーションのみでむりやり詰め込むように説明してしまう手法は、およそ映画的とは言いかねる。しかも、そこで語られる虚無的なストーリーも無機質で突き放した口調も、ただ寒々しいばかりで何の感銘も与えてくれない。

 巨神兵の先輩にあたる怪獣たちは、そんな寒々しいものだったろうか? そんなことはない。怪獣は確かに恐ろしい破壊の権化であるが、同時に不可解なまでに人を引きつけて止まない、驚嘆すべき存在であったはずだ。したがって、怪獣を語るにふさわしい口調は「巨神兵東京に現る」のような青臭く気取った無関心などでは断じてない。恐怖にせよ戸惑いにせよ賛嘆にせよ、狂おしい熱を帯びていなければならないはずだ。

「奇っ怪紳士! 怪獣博士! 大伴昌司の大図解」展は、そうした怪獣への熱い想いを新たにさせてくれる好企画だった。大伴昌司はウルトラ・シリーズの製作に直接かかわった人物ではないため、怪獣ブームに便乗しただけのように語られることもある。だが、彼が創案した怪獣図解が、消費されていくやられ役ではなく長く愛され続けるスターとしての怪獣像を創りあげるのに、大きな貢献があったことは間違いない。今回展示されていた怪獣図解の肉筆原稿の数々には、どれも細かいアイデアや画家への指示などがびっしりと書き込まれていて、大伴の怪獣図解が安易にブームに乗じた商魂の産物ではなく、彼なりに怪獣を愛しその魅力を追究していったまなざしに根ざしたものであったことを、雄弁に証している。映画やドラマを作っていなくとも、大伴昌司はやはり日本怪獣文化の重要な担い手の一人であったのだ。

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2007/08/13

家族旅行・呉市内編

Kujira

 朝食を食べるとすぐホテルをチェックアウトして、本物の潜水艦の中が見学できるという海上自衛隊呉史料館 / てつのくじら館へ向かった。今年4月にオープンしたばかりで人気が高く、混雑時には整理券を配布して入場制限していると聞いていたので、配布開始の8時45分より少し早めに着くつもりで出かけたのである。到着したのは8時20分ごろで、もうすでに数十人の行列ができていた。写真の通り、潜水艦は建物外にむき出しで展示されている。ゆうしお型潜水艦のあきしおである。全長76mだから軍艦としては小さな部類に属するが、それでも間近で見るとさすがに大きく感じられ、ふつうに自動車が行き交う公道の脇にでんと鎮座している姿は、すごいインパクトがある。前日に引き続いての猛暑で、朝とはいえこのまま日光を遮るもののないところに並んでいるのはつらいなあと思っていたら、10分ほど後に制服の自衛官がゲートを開けて潜水艦の艦首の影の下に誘導してくれて、ほっと一息。そしてまた10分ほど後には、整理券配布どころか正規の開館時間9時を待たずに入場させてくれた。

 館内展示はこちらのとおり、掃海艇と潜水艦についてが中心になっている。展示内容は全体にごくあっさりしたものだったが、扱っている分野が専門的なわりに予備知識なしでも解るようにうまくまとめられていた。また、「これは何かな?」などと話していると、退役自衛官のボランティアであるという係員がすっと近寄ってきて詳しい説明をしてくれる。掃海隊についての展示は、実戦の経験がない海上自衛隊の中ではもっとも実地経験が豊富で功績も大きいといえる部隊なのに任務が地味なため一般にはなじみが薄いので、メインの潜水艦以上に意義深いと思う。

 いよいよ潜水艦あきしおの内部に入ると、聞きしに勝る狭さにびっくり。外から見るとあんなに大きかったのにどうして? と思ってしまうほど。まがりなりにも部屋といえる広さがあるのは発令所のみで、あとは隙間といった方がしっくり来るような感じである。艦長室でさえベッドと小さな机だけでいっぱいいっぱいで、3畳もなかったような。敵艦撃沈を主任務とする攻撃潜水艦とは、極端にいえば隠密魚雷艇というか、隠れて魚雷を運び、ぶっ放すだけの船でしかないということがよく解る。通路も狭いため、今日のように混んでいると後からやってくる人たちに遠慮せねばならないので、じっくり見るのはむずかしい。できるだけ空いている時期に見学すべきだろう。なお、発令所等の中枢部は現在は撮影禁止になっているのだが、オープン当初は撮影できたらしい。

Oosumi


 潜水艦の外に出て館内に戻ると展望ホールになっていて、ガトー級潜水艦とイ400潜の艦橋に装備されていた双眼鏡で呉港を見ることができる。そして、イ400潜の方の望遠鏡を覗くと、なんとおおすみ級輸送艦(艦の識別番号までは確認できなかった)の特徴ある艦橋が大写しに見えるではないか! たぶん狙ってセッティングしてあるのだろう。

 1時間ほどでてつのくじら館の見学を終え、向かい側の呉市海事歴史科学館/大和ミュージアムへ移動した。入館するとすぐ、目玉になっている戦艦大和の10分の1模型がでんと座っている。模型といっても漁船ぐらいの大きさだからそれなりに迫力はあるのだが、てつのくじら館で実物の潜水艦を見た直後だけにやはり見劣りする感は否めない。ついつい模型として見てしまって、「この大きさだともっと汚し塗装をしないと実感に欠けるなあ」とか「どうせなら主砲可動・発射のギミックでも付けてしまえば」などど思ってしまったり……。小さくとも実物の零戦や回天、海竜などの方が、ずっと重々しい存在感があるように感じた。なお、実物の大和のサイズを偲ばせるものとしては、館外の公園に艦橋から艦首までを模った大和波止場があるのと、大通りを挟んで向かい側にある第2駐車場ビル2階に映画『男たちの大和/YAMATO』に使われた副砲塔・高角砲塔・機関砲座のセットが展示されている。

 10時過ぎぐらいから見学客がどんどん増えてきて、かなり混雑した状況になってきた。大和模型や零戦などの大型展示物コーナーはそれほどでもないが、軍港として発展した呉の歴史と大和との関係を語るコーナーの方は、昨日の広島平和記念資料館と同じく低い位置にモニターを設置してVTRを流しているところがいくつもあって、やはり人の流れが滞る。また、市が経営している博物館だから仕方ないのかもしれないけれど、そもそも戦艦とは何かとか、戦艦として大和はどうなのかというような説明はほとんどないのがやや物足りなかった。宇宙戦艦ヤマトの模型が置かれているのはまあご愛敬としても、松本零士の業績を讃える展示は要らんでしょう。

Submarins

Umigiri

Muroto

 呉港は海上自衛隊の基地になっているのだが、てつのくじら館や大和ミュージアムの近辺には掃海隊や練習艦、タグボート等の支援艦艇がいるぐらいで、現役の護衛艦や潜水艦を見るにはもっと南の波止場に行かなければならない。JR呉駅前の食堂で昼食を採ってから、バスに乗り、潜水艦隊が間近で見られるというアレイからすこじまに行ってみた。間近といっても自衛隊の施設だから桟橋まで入れるわけではなくて、フェンス越しにのぞき込むだけである。艦艇まで距離があるので、オペラグラスや望遠鏡が必ず必要になる。私は3倍のオペラグラスを持って行ったが、もう少し倍率の大きなものを用意すべきだったと感じた。画像はパナソニックの400万画素光学3倍ズームのデジカメLUMIX DMC-LS1で撮影したもので、肉眼で見るだけではここまで迫力はない。それでも潜水艦や護衛艦がごろごろ停泊している様は壮観だった。中には機雷敷設艦もいたりして、てつのくじら館で掃海部隊についての展示を見た直後だったのでなんだか変な気持ちになった。

 私一人ならここで終日でも過ごしていられるのだが、家族連れだとそうはいかないのでほどほどで切り上げて広島市内に戻り、夕方には新幹線で帰阪した。もう一日余裕があれば、呉には江田島や海軍関係の史跡など見どころが多いのだけど、子供たちが退屈するのが目に見えているので家族旅行ではなかなか難しい。それと、とにかく暑さに悩まされた。自分ももう若くないし、これからは夏休みの旅行は避暑地か水遊びで考えないとつらいかもしれない。

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2007/08/12

家族旅行広島・宮島編

 お盆休みということで、家族5人で広島・呉に一泊旅行をしてきた。本命のお目当ては実物の潜水艦の内部が見られると話題になっている呉の「てつのくじら館」なのだけど、たいへんな混雑のため朝から並ばないといけないそうで、初日は広島市内と宮島を観光して夕食後呉に移動、2日目に「てつのくじら館」と「大和ミュージアム」を見学するという日程にした。

 10時すぎに広島駅に着くとまず土産物売り場を覗き、隠れた広島名物と伝え聞く「せんじ肉」を1袋購入した。これは豚の胃を煮詰めて揚げたもので、独特の珍味だというのである。ところがネットでは美味いという意見とちょっと勘弁という意見が混在していて、実際どうなのか気になっていた。案外、大阪では子供がおやつにしているホルモン焼に近いものかもと思ったり……。さっそく食してみると(下品にも歩き食い)、塩辛い味付けの固く粘り気のある肉で、くちゃくちゃしがむほどに旨味がしみ出してくる。いかにも内臓らしいくせはあるものの、ホルモン焼のようなべたべた泥臭い味と比べると、ごく上品だといっていいぐらい。おやつとしては塩辛すぎる気がするしご飯のおかずには固いので、お酒のあてにするのが最適かも。

 続いて宮島に移動し、厳島神社を見物。ところが、あまりの暑さと移動時間が長くて退屈してきたせいか、小学2年生の三男がえらく不機嫌になってしまった。もともとこらえ性のない男なので、そういうこともあるだろうとは思っていたが、こうも早いとは……。まあ外を歩くにはあまりにも暑かったこともあり(この夏最高の暑さだったらしい)、ほどほどで切り上げて近くの店で昼食にした。名物のあなごめしである。これはびっくりするような旨さだった。脂がよく乗っているがウナギほどくどくなく、香ばしい。これまで食べてきたアナゴ料理とはぜんぜん別物で、値段の相場は1500~2000円ぐらいとやや高めだが、それだけの値打ちはある。ちなみに、私たちが食べたのは「いな忠」という店。店によって調理の仕方が多少違ったりするらしい。

 また広島市街に戻り、原爆ドームへ。印刷物や映像では見慣れている建物だが、生で見るとまた違う感銘がある。実物のドームと平和記念公園を含めた周囲の空間の広がりに触れ、原爆投下後の廃墟と化した広島市街の写真を対比することで、原爆の破壊力がより具体的にイメージすることができるように思う。この後、私と長男次男は広島平和記念資料館へ、妻と三男は広島市こども文化科学館へと二手に分かれた。広島観光に来て平和記念資料館を外すわけにはいかないのは当然として、まだ幼く人一倍臆病な三男には、原爆の被害の生々しい展示は刺激が強すぎるだろうと判断したのである。だからこそ教育的な効果は大きいという考え方もあろうが、同じくらい恐がりだった私の子供時代の反応の記憶に照らし、迷った末に決めたのだ。

 平和記念資料館はお盆休みだけに非常に混雑していて、三男と同じ年ごろの子供もちらほらいた。三男も連れてきた方がよかったのかなあと、また思ってしまった。館内では、自分にできる範囲だけでも子供たちに解説してやろうと思っていたのだが、ほとんどできなかった。紋切り型の表現だけど、事実の重さにやはり言葉を失ってしまうのである。ただ、明日は呉で潜水艦や戦艦の展示を見に行くわけだが、それらも規模こそ違えど原爆と同じ兵器であることには変わりなく、使われれば人がむごたらしく死ぬということと、そういう力を持つべきかどうか行使すべきかどうかは、自分で考えて自分で判断しなければならないということだけは、はっきりと伝えた。例によって、「またややこしいこというてんなあ」てな反応だったが。

 平和記念資料館そのものの意義には疑問の余地はないが、展示の方法については改善すべきところもあるように感じた。VTRに依存している展示が多いために、この日のような混雑時には、客の流れがひどく滞るのである。入館してすぐのところにもう長いVTRがあって、なかなか前に進めないのには参った。その後も、VTRモニターがある度に人溜まりができてしまっていて、しかもモニターが低い位置にあるために後ろからは何も見えないこともあった。また、原子爆弾の原理やメカニズムについての解説がわかりにくいことや、原子力発電に関する議論や核兵器の拡散傾向についてなど現代の核問題の関する展示の不足なども、物足りなく思った。原子力問題を絡めるのは、いろいろと差し障りがあるのだろうけど。より根元的な問題というべき、非戦闘員を標的とする戦略爆撃の是非についても言及があっていいように思うが、そこまでやると手を広げすぎだろうか。

 原爆ドームに戻り妻たちと落ち合って、市街を散策しつつ広島駅方面へ向かった。夕食は駅近くのビルで広島風お好み焼き。確かに慣れ親しんでいる関西のお好み焼きとは似て非なる料理で、これもまた旨い。具材を混ぜ込まず薄皮の生地に挟んで焼くので、具材も混ぜてパンケーキ状に焼く関西風と比べると、焦げ付かないようにするのには技量が必要とされるのではないだろうか。夕食後JR呉線で呉市に移動して、ホテルにチェックイン。

 とにかく暑い一日だった。歩いているだけで汗をびっしょりとかき、へとへとになってくる。色の濃い服を着ていたので、汗の塩分が白く結晶してくるほど。そこで意外にも役だったのが、せんじ肉だった。味見のために開封したものを道々口に放り込んで、塩分を補給したのである。しかし、カロリーを考えると問題ありですな。携帯用梅干しとかにしないと。食事の度に生ビールをがぶ飲みしてるし、これではいくら歩いても汗かいても痩せませんって。

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2005/07/03

古書を買わない旅だってあるさ

 愛・地球博の翌日は、名古屋市内を観光した。久屋大通公園名古屋テレビ塔名古屋城という、絵に描いたような観光コース──と言いつつ、実は『モスラ対ゴジラ』でのゴジラの襲来コースだったりする……。狙ったわけじゃないけど、何となくそうなった。やっぱり怪獣は、身長50mぐらいがいいですなあ。都市を蹂躙できるだけの破壊力を感じさせつつも、足下の人間と絡んで絵になる絶妙のバランスだと思う。平成ゴジラの100mは、でか過ぎるよ。
 その後は名古屋駅前の地下街に移動して、遅めの昼食にみそカツを食べた。初体験のみそカツは、珍味という感じでもなく、ごくふつうに美味かった。濃厚な甘さだが、ビールと良く合う。これならソース味のトンカツと併存して全国に広まってもおかしくないと思うのだけど、あのタレを作るのが難しいのだろうか? 
 昼食を済ませると、そのまま新幹線で帰阪。珍しく、地元の古書店には一軒も立ち寄らなかった。たまには家族サービスに徹することもあるのだ。名古屋ぐらいなら、後日一人で日帰り古本行脚も可能だし(費用を度外視すれば、だが……)。しかし、何も本を買わないのは癪なので、駅前地下街の新刊書店に入り、新幹線内で読むためのマンガを一冊だけ買った。

福島聡『機動旅団八福神』第1巻(エンターブレイン)[bk1][Amazon]
 近未来の不穏な日本を舞台に、軍隊に入って着ぐるみのようなパワードスーツ“福神”で戦うことになる若者たちを描く長篇マンガ。某誌のマンガ・レビューで誉められていたのを思い出して買ったのだが、いかにもマンガ・マニア向けなマンガで、どうも私には合わなかった。お好きな人には申し訳ないけれど、恐らくは作者が工夫を凝らしているつもりであろう箇所がどれも作為が見えすぎるような気がして、いちいち引っ掛かるのである。恐らく、マンガ慣れしている読者なら平気なのだろうが……。
 当たり前の話だが、マンガに詳しい人が誉めているからといって、必ずしも万人向けとは限らないのだ。もちろんそれは、私がこれまで書いてきたホラー系書評にも当てはまってしまうのかも知れないのだけど、マンガは表現の手法の幅が広い分、小説以上に好みが分かれる場合が多いのではないだろうか。

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2005/07/02

やつらは本気なのか!?

 親子5人で愛・地球博に行って参りました。スケジュールがぎりぎりまで決まらなかったせいで企業パビリオンの予約は取れず、長時間並ぶ気力も元より持ち合わせてはいないので、行列の短い外国館を中心にぶらぶらと見て回ることに。ワニ肉バーガー喰ったり、やしの実ジュース飲んだり、シシカバブつまんだり、のんびり楽しく過ごして来ました。

 会場内で何よりも驚いたのが、日陰があまりにも少ないこと。行列する場所も、各パビリオン間の移動用の回廊もまったく屋根がない。終日薄曇りだったから良かったけれど、晴天だったら倒れていたかも。これからますます暑くなるのに、どうするのだろう。

tu2000

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 混んでいるところは避けたせいで、各館の展示はおおむね地味な印象だったのだが、その中でロシア館だけは特別気合いが入っていた感じ。マンモスの全身骨格と子マンモスの剥製が間近で見放題なのは有名だけど、個人的にもっと感銘を受けたのは、宇宙開発と航空機関係の展示物。ほとんど縮尺模型ばかりながら、水素エンジン使用の新型スペースシャトルとか、一般の飛行場から発着して衛星軌道を周る旅客機とか、昔の少年誌の図解グラビアに出ていたような流線型のメカがあれこれ並んでいた。

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 いちばん凄かったのがこれ。やたらとでかそうな飛行艇だなあ──と、近づいて上から見ると……な、何と、トラックやヘリコプターが何台も中に詰まってる……本気か? まあロシアなら道路や鉄道、港湾が未整備な地域もまだまだあるのだろうが、それにしても巨大飛行艇での空輸に頼るというのは、いったいどういうケースを想定しているのやら。

会場では詳しい説明がぜんぜんないので、気になって帰宅してからネットでも調べてみたけれど、どうもそれらしいものが見つからない。ひょっとして、いままで極秘扱いだった構想を初公開したのだろうか。それとも万博向けのハッタリとか?

 ともあれ、レトロなSFメカがお好きなら、愛・地球博のロシア館はお勧めです。

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