購書備忘録2005その39『鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集』
bk1より、下記2冊が届く。
『鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集』(角川書店)[bk1][Amazon]
日本の妖怪のビジュアル・イメージを決定づけた絵師鳥山石燕の妖怪画集を集成したもので、「画図百鬼夜行」、「今昔画図続百鬼」、「今昔百鬼拾遺」、「図画百器徒然袋」の4編を収録している。同種の本としては国書刊行会からすでに、『画図百鬼夜行』[bk1][Amazon]が出ているが、けっこうな値段なので私はまだ手が出せずにいる。本書は巻末に多田克己による解説が数ページあるだけなのに対し、国書刊行会版はそれぞれの妖怪にまで解説が付されているらしい。本格的に石燕の妖怪画に取り組むのなら、版型も大きい国書刊行会版の方を買うべきだろう。
湯本豪一『日本幻獣図説』(河出書房新社)[bk1][Amazon]
これも妖怪本ではあるのだが、<幻獣>という括りを持ち出しているのが特色になっている。妖怪変化と一括りにされている中には、当時の人々に実在の生物として考えられていたものもあるのではないか、という視点で江戸から明治にかけての目撃記録やメディアの報道、図版などを集めているのである。だが、それならばまず、当時の自然観・動物観をはっきりさせておかねばならないはずだ。なのに本書は、そこは曖昧なまま話を進めているので、どうも議論の輪郭がはっきりせず、結局は「妖怪のうち動物っぽいものだけを論じてみました」という程度にしかなっていないような気がする。ただ、純粋に資料として見るならば、名前も何もないようなわけの判らない化け物の記録や図版を積極的に集めているのはおもしろいし、明治期のメディアでの扱われ方なども興味深い。限界を了解した上でなら、手元に置いておく価値はある。
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