購書備忘録2005その29『冷たい肌』
bk1より下記5冊が届く。
アルベール・サンチェス・ピニョル『冷たい肌』(中央公論新社)[bk1][Amazon]
アイルランド独立運動の闘士だった主人公が挫折し、世捨て人のように絶海の孤島に気象観測官として赴任する。ところが、その島には人とも両生類ともつかぬ生物の群れが棲んでいて、夜な夜な海から這い上がり襲いかかってくるのだった。味方にできるのは、灯台に立て籠もっている野卑な男一人。男は怪物の雌を一匹ペットにしていて、どうやらそいつと肉体関係にあるらしい──という異様な小説。著者はバルセロナ生まれの文化人類学者で、この小説はカタルーニャ文学としては異例のベストセラーとなり、各国で翻訳出版されているのだそうだ。
チャック・パラニューク『ララバイ』(早川書房)[bk1][Amazon]
私はまったく知らなかったが、著者パラニュークは映画『ファイト・クラブ』の原作者で邦訳はこれで5冊め、そのどれも暴力への衝動をモチーフにした小説ばかりなのだそうだ。本書は、乳幼児の突然死を調べていた記者が、聴いた者を瞬時に殺してしまう力を持つアフリカ起源の謎の子守歌に行き当たるというホラー。
レオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホ『魂を漁る女』(中公文庫)[bk1][Amazon]
マゾッホというとマゾヒズムの語源となった異常性愛小説の作家との印象があるが、それは彼の作品が孕むものの一部に過ぎないのだという。本書は異端信仰による連続殺人事件を通じて、西洋近代と東欧土着の神秘主義との相克を描いた暗黒小説で、マゾッホの代表的長篇とのこと。
フリッツ・ライバー『妖魔と二剣士』(創元推理文庫)[bk1][Amazon]
長らく邦訳が中断していた<ファファード&グレイマウザー>シリーズの第4巻。続刊が出るに当たり、既刊分も含めて装画が柳柊二から末弥純に替わっている。確かに旧版の柳柊二の絵はどうも泥臭くてこのシリーズには今一つしっくり来なかったが、では今度の末弥純のゲーム風の絵がイメージ通りかというと、これも何だか線が細すぎて、またちょっと違うような気がする。難しいものである。
エドモンド・ハミルトン『反対進化』(創元SF文庫)[bk1][Amazon]
エドモンド・ハミルトンの奇想SF短篇傑作選。続刊として怪奇幻想編も予定されているとのこと。
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