ヘンリー・ジェイムズ怪奇作品リスト(暫定版)
とまあ、あれこれ本は買っているのだが、実際読んでいるのはヘンリー・ジェイムズの怪奇小説ばかりなのだった。今後もジェイムズ関連の話がちょくちょく出てくることになるだろうから、先に彼の怪奇小説は「長短織り交ぜて20篇ほどにはなるようだ」と書いた内訳を、ここでご紹介しておこう。
作中の怪異を巡って解釈が分かれるのは「ねじの回転」に限らないので、ジェイムズの怪奇作品の数を特定するのはなかなか難しい。彼の怪奇作品を集めた本としてはもっとも名高いレオン・エデル編の"The Ghostly Tales of Henry James"(1949)は、「ねじの回転」を始めぜんぶで18の中短篇を集めているけれど、超自然的恐怖原理主義者の私でも、怪奇小説と言ってしまっていいかどうかためらわれるものも含まれている。その一方で、"Tales"とあるからにはこの本には当然"Novel"すなわち長篇小説は含まれていないわけだが、『アメリカ文学における怪異』(1978,荒竹出版)の中で著者神原達夫は、エデルが採らなかったジェイムズの怪奇短篇としてさらに、「情熱の巡礼」と「『ベルトラフィオ』の作者」の2篇を挙げている。ここらを根拠にできるだけ基準を緩くしつつまとめると、ジェイムズの怪奇小説の総数はどうやら下記の通りになるようである。
01.The Romance of Certain Old Clothes(1868)「古衣装の物語」
02.De Grey: A Romance(1868)「ド・グレイ物語」
03.A Assionate Pilgrim(1871)「情熱の巡礼」
04.The Last of the Valerii(1874)(未訳)
05.The Ghostly Rental(1876)「幽霊貸家」
06.The Author of Beltraffio(1884)「『ベルトラフィオ』の作者」
07.Sir Edmund Orme(1892)「エドマンド・オーム卿」
08.Nona Vincent(1892)(未訳)
09.The Private Life(1892)「私的生活」
10.Jersey Villas(1892) later title : Sir Dominick Ferrand(未訳)
11.Owen Wingrave(1892)「オーウェン・ウィングレイヴ」
12.The Altar of the Dead(1895)「死者の祭壇」
13.The Way it Came(1896) later title : The Friends of the Friends「友だちの友だち」
14.The Turn of the Screw(1898)「ねじの回転」
15.The Real Right Thing(1899)「本当の正しい事」
16.The Great Good Place(1900)「いとよき所」
17.Maud-Evelyn(1900)「モード・イーヴリン」
18.The Third Person(1900)「第三者」
19.The Sacred Fount(1901)「聖なる泉」
20.The Beast in the Jungle(1903)「密林の獣」
21.The Jolly Corner(1908)「懐かしの街角」
22.The Sense of Past(1917)「過去の感覚」
邦題は既訳から適当に拾い出したもので、訳書によって違うのでご注意。未訳としたものも、充分に調べたとは言い難い。何より、私自身が読んでいない作品も含まれているので、とりあえずの暫定版ということでご了承いただきたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント