購書備忘録2005その20『宇宙からのメッセージ』
近所の新古書店で、野田昌宏『宇宙からのメッセージ』と草川隆『幽霊は夜唄う』を購入。
野田昌宏『宇宙からのメッセージ』(1978,角川文庫)
東映が『スター・ウォーズ』に対抗して作った同名スペオペ映画のノベライズ。この映画は封切り時に劇場で観ている。東宝も『惑星大戦争』という映画を作っていたけれど、ポスターを見比べた結果、宇宙防衛艦<轟天>号のデザインのあまりの酷さに『惑星大戦争』はパス。ガバナス軍戦艦の方がまだしもと考えて『宇宙からのメッセージ』を観に行ったのだが、SFというよりB級チャンバラなノリの映画でがっかりさせられた。もっとも、その後観た本家の『スター・ウォーズ』も、スペオペといえば<レンズマン>シリーズか<スター・トレック>だった自分には、ずいぶんデタラメでしょぼい映画に思われたのが……(嫌なガキだね)。今、この3本の映画でどれがいちばん好きかと訊かれたら、キッチュさが突出してる『惑星大戦争』だなあ。
著者あとがきによると、このノベライズは映画とはかなりストーリーが違うとのこと。石ノ森章太郎によるイラストがいっぱい入っている。
草川隆『幽霊は夜唄う』(1987,双葉文庫)
蚤の市で女性歌手の卵の霊が憑いたレコードを拾った男が、彼女の死の真相を探っていくというホラー・ミステリ。著者は「宇宙塵」出身のSF系作家らしいが、東雅夫・石堂藍編『日本幻想作家名鑑』によると、本書と同傾向のホラー・ミステリをいくつか書いているとのこと。
帰宅すると、bk1から松平俊久『図説ヨーロッパ怪物文化誌事典』が届いていた。
松平俊久『図説ヨーロッパ怪物文化誌事典』(原書房)[bk1][Amazon]
怪物を「文化装置」として読み解くという姿勢で編まれた、中世ヨーロッパ怪物事典。序文と第1章で基礎となる理論を提示し、第2章が本体の事典、第3章は実践編として旧50スイス・フランに現れた奇怪な四足獣スーを読み解くというユニークな三部構成になっている。単に事典として見ても、カラー図版がたいへん豊富な上に典拠や参考文献がしっかりと記載されており、類書から一頭地を抜く仕上がりである。怪物好きなら必携の一冊と言えよう。
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