購書備忘録2005その17 『死小説』
bk1より、福澤徹三『死小説』、日本推理作家協会編『暗闇(ダークサイド)を追いかけろ 最新ベスト・ミステリー ホラー&サスペンス編』が届く。
福澤徹三『死小説』(幻冬舎)[bk1][Amazon]
「小説新潮」に発表された5篇を収録した怪奇短篇集。最近の福澤の怪談は、人間関係のもつれを背景にした晩年の源氏鶏太を思わせるものが多いが、厭世的な諦観と強迫的なまでの罪悪感がより一層暗く、陰鬱である。本書の収録作中、私のいちばんのお気に入りは、老人福祉業界を題材にした「黒い子供」。そう簡単には日常が崩れてしまわないところが、かえって不気味な雰囲気を強調しているのに注目されたい。次点は、性への妄執が淫靡きわまりない「夜伽」。
日本推理作家協会編『暗闇(ダークサイド)を追いかけろ 最新ベスト・ミステリー ホラー&サスペンス編』(光文社カッパノベルス)[bk1][Amazon]
広義のミステリーの最新動向を紹介する目的で編まれた3巻本アンソロジーのうちのホラー&サスペンス編で、2001年1月号から2003年12月号までの各雑誌に発表されたものから選んだ全17篇を収録している(収録作の詳細は、上記のbk1のリンクを参照)。いっそ年次ベストにして、毎年発刊してくれたら非常に便利なのだが……。いや、このアンソロジーに限らず、どこでもいいから国産ホラー短篇の年次ベスト集の企画を立ててくれないものだろうか。
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