購書備忘録2005その9
大国町近くの賃貸マンションに住む大学時代のサークルの後輩のところで、てっちりを食す集いがあった。難波が目と鼻の先なので、行きがけに時間の許す範囲で古書店を何軒か廻り、ロバート・ブロック『 気ちがい〔サイコ〕』、マレイ・ラインスター『異次元の彼方から』、サム・マーウィン・ジュニア『多元宇宙の家』、ノーヴェル・W・ペイジ『炎の塔の剣士』の4冊を購入。
ロバート・ブロック『 気ちがい〔サイコ〕』(ハヤカワミステリ)は、もちろんあの『サイコ』のことで、ポケミス時代はこういう邦題だったのだ。初版は昭和35年だが、私が今回買ったのは昭和44年の第4刷。この本は何度も古書店で見掛けていたのだけど、今になってようやく、解説がハヤカワ文庫版とは違うことに気づいたので購入した。そのためだけに買ったのかと言われてしまいそうだが、別に惜しくはないような値付けだったのである。文庫版の解説は仁賀克雄だが、ポケミス版は都筑道夫が書いている。原書の初出である<イナー・サクタム・ミステリ>という叢書と著者ブロックの紹介を中心にしていて、モデルとなったエド・ゲイン事件についての言及は一切無い。たぶん、まだ知られてもいなかったのだろう。
マレイ・ラインスター『異次元の彼方から』とサム・マーウィン・ジュニア『多元宇宙の家』は、どちらもハヤカワSFシリーズの一冊。ハヤカワSFシリーズも安くなった。私が学生のころには1000円を超える値段を付けている店も多くてなかなか手が出しにくかったものだが、今では相場は半額以下ではないだろうか。いまだに高値を維持し続けているサンリオSF文庫も、いつか落ち着く日が来るだろうか? 『異次元の彼方から』は異次元から侵略してくる話で、『多元宇宙の家』は異次元へ入っていく話。別にそれを狙って買ったわけじゃないんだけど……。どちらも、私が生きている間には新版が出たりはしなさそうな本である。
ノーヴェル・W・ペイジ『炎の塔の剣士』(ハヤカワSF文庫)は、コナン・タイプのマッチョな剣士プレスター・ジョンが紀元一世紀のユーラシアを放浪していくヒロイック・ファンタジー。主人公があまりに強すぎてバカバカしいとも聞くが(素手で虎を倒したりするとか)、さてどんなもんでしょうか。
自宅に帰ってから戦果を再確認していると、前所有者が栞代わりにしていたのだろうか、『異次元の彼方から』に1970年の日本万国博覧会の割引入場券が1枚挟まっていた。人類の進歩と調和──SFの古本を読むにはちょうどいいかも。
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