購書備忘録2005その8
bk1より、マンリイ・ウェイド・ウェルマン『ルネサンスへ飛んだ男』と『決定版 全ゴジラ完全超百科』が届く。
マンリイ・ウェイド・ウェルマン『ルネサンスへ飛んだ男』(扶桑社ミステリー文庫)[bk1][Amazon]は、1940年に発表されたタイム・トラベル物のSF小説。マンリイ・ウェイド・ウェルマンというと、日本では<銀のギターのジョン>シリーズやウィアード・テイルズ系の怪奇短篇などが知られている程度で、それほど人気のある作家でもない。今さらどうして彼の60年以上も前のSF長篇が邦訳されるのだろうと、興味津々で訳者野村芳夫のあとがきを読んでびっくり。優れた作品なのに日本ではほとんど知られてもいないから、邦訳しただけだというのである。
──いや、当たり前の話ではあるのだ。だが、その当たり前のことを通すのが、現在の海外娯楽小説の出版ではどれほど難しいことか。しかも、初出を底本にしつつその後の版の改善箇所を取り入れて翻訳することにより、世界初の決定版というべきテキストに仕上げ、大幅に改訂されたためにどうしても本文に盛り込めない箇所は、巻末に付録として載せているという豪華仕様。この心意気を応援せずにどうしますか。たった762円+税の投資なんぞ安いものだ。皆さん、買いましょう!
『決定版 全ゴジラ完全超百科』(講談社テレビマガジンデラックス)[bk1][Amazon]は、1954年の『ゴジラ』から最新作『ゴジラ ファイナル・ウォーズ』まですべての東宝特撮全作品の怪獣・怪人・メカを紹介した百科。子供向きながら、『ガス人間第1号』とか『さよならジュピター』みたいな映画まで網羅してます。約120ページでオールカラー。ネットでけっこういいという評判を聞いて買ったんだけど、私のような大きなお友達にはやや薄味だったなあ。三男の啓蒙用になりそう。
とはいえ、パラパラめくって東宝特撮50年の歴史をあらためて振り返ると、作りも作ったりという感慨を抱かずにいられない。何しろ、『メカゴジラの逆襲』まででようやく本書の半分程度なのである。ゴジラ・シリーズの再開からすでに20年を越えているのだから、東宝特撮というと即、本多猪四郎・円谷英二のコンビを基準にしてしまうのは、もう通用しない時代になってるのかもなあ。
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