購書備忘録2005その1(今年の古本始め)
2日から3日にかけて、家族全員で妻の実家に泊まりに行った。そこでの子供たちの楽しみの一つが、駅前の「古本市場」。子供たちの目当てはゲームだが、とうぜん父も同伴し、今年の古本始めとなった。収穫は、マルキ・ド・サド『ジュスチーヌもしくは美徳の不幸』(岩波文庫)[bk1][Amazon]と渡邊昌美『中世の奇蹟と幻想』(岩波新書)。
『美徳の不幸』にはバージョンが3つあるそうで、この岩波文庫は2番目のもの。私が15年以上前に澁澤龍彦の訳で読んだ1番目のバージョンと較べると、倍ぐらいの分量があるようだ。『中世の奇蹟と幻想』は、聖者伝や奇蹟録を読むことでヨーロッパ中世の庶民の心性を追っているエッセイ風の読み物。
さすがに妻の実家でサドは読みにくいので、『中世の奇蹟と幻想』を読んでいると、長男が話しかけてきた。
「何の本読んでんの?」
「ヨーロッパの中世、ずっと昔に起きた奇蹟について研究した本や」
「ふーん、奇蹟が起きんの」
何だか、えらくありがたみのない扱いである。無理もないか。昨日の『ULTRAMAN』みたいに、奇蹟を安売りする映画やドラマが絶えないからなあ。
息子よ、奇蹟なんて起きはしない。起きないからこそ、奇蹟なのだぞ。
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