購書備忘録2005その3(含DVDソフト1枚)
親子5人揃って今宮戎神社に詣でた。屋台の列を冷やかしながら歩いていくと難波に至る。難波には古本屋がある。まったく寄らないわけには参りません。ということで、子供3人を妻に託し、まずは屋台の列の背後に隠れている1軒目に突入。
あまり長く待たせられないので超特急で棚を漁り、Daphne du Maurier"The Prasaite"(Penguin)と”The Complete Novels and Selected Tales of Nathaniel Hawthorne"(Modern Library)を購入。どちらも刊年がよく分からない。装丁や本のコンディションから察するに、前者は1970~80年代ぐらい、後者は1950~60年代ぐらいではないかと思う。
ダフネ・デュ・モーリアの方は、多重人格もののスリラーらしい。デュ・モーリアは邦訳が多いので、ひょっとしてこれもという心配はあったが、迷っている暇はないし200円だしでえいや!と買ってしまった。買い逃して後悔するよりは抱え込んで後悔する方がまし、というのは古本ショッピングの鉄則ですからな。
ナサニエル・ホーソンの方は、書名通りのもの。ここしばらく、19世紀の英語圏のnovelでの超自然の扱われ方が気になっていて、翻訳があるものでも原文を手元に置いておきたかったのだ(ちなみにホーソンは、怪奇な題材を好みながらもnovelで超自然を扱うこと対しては慎重派だったと言われる)。もちろん、ホーソンなんて無料の電子テキストでいくらでも原文を入手できるのだが、やっぱり紙の本もないと不便なことが多いし、たった500円だからと買ってしまう。
昼食を済ませてから、ブックオフでE・P・ホイト『空母ガムビアベイ』と鶴田謙二『スピリット・オブ・ワンダー』、DVDソフト『エンティティー/霊体』を買う。ブックオフは子連れで入ってもさほど気にならないのが嬉しい。
E・P・ホイト『空母ガムビアベイ』(学研M文庫)[bk1][Amazon]は、日本ではあの戦艦大和に撃沈された唯一の敵艦として知られるアメリカ海軍の軽空母の生涯を描いたドキュメント。米軍としても、砲戦で撃沈された空母はこれ一隻だけだとか。そりゃそうだろうなあ。不運としかいいようがない。
鶴田謙二『スピリット・オブ・ワンダー』(講談社モーニングKCDX)[bk1][Amazon]は、同じ著者の同じ書名のコミックを買って読んだ記憶がある……でも、こんな分厚い本じゃなかったし、刊年も記憶より10年は新しい……と迷ったが今度も鉄則に従い購入。コミックには疎いので、いざ買おうとすると知識不足で困ることが多い。
『エンティティー/霊体』(20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン)[Amazon]は、美人妻が夜な夜な邪な霊に犯されるというホラー映画。フランク・デ・フェリータが実話に基づき書いた原作の映画化とのことだが、原作の方は邦訳もなくアメリカでも絶版のようだ。どんな話かは知っていたが、まだ観たことがなかった。特によいとかいう評判も聞かないが、たった600円ですもの、買いますよ。
それと実は、ジョン・A・キールが言うところの「寝室の侵入者」が以前から気になっていて、ぽつぽつ資料を集めてもいるのである。何のことやら判らない方は、キールの『不思議現象ファイル』(ボーダーランド文庫)[bk1][Amazon]とかを参照。これ大陸書房版だと、『四次元から来た怪獣』ですな。キールについて手っ取り早く参考になるのは、モスマンの話題が主だけどこことか。
難波には、古書店ばかりでなく新刊書店もある。難波CITYの旭屋書店で、『本の雑誌』1月号と、『ユリイカ』1月号を購入。
『本の雑誌』1月号(本の雑誌社)[bk1][Amazon]はふだんはほとんど買っていないのだが、『幻想文学』でお世話になった石堂藍さんが時評欄に登板したと聞いたので。もうそろそろ2月号が出るころなのに、自宅の近所の書店にはぜんぜん置いていなくて立ち読みもできなかったのだ。石堂さん何となく肩に力が入っているような……もうちょっと砕けた感じの方が、雑誌全体の雰囲気に合うのではないかと思う。
『ユリイカ』1月号(青土社)[bk1][Amazon]は、「翻訳作法」特集。海外文学の邦訳をある程度読み込んでいくと、翻訳という問題に無関心ではいられない。特集以外に、柏倉康夫がマラルメと『ヴァテック』の関わりについて書いている。
さて、帰宅してからチェックしてみると、デュ・モーリアの"The Prasaite"は、やはり邦訳されていたことが判った。『愛の秘密』(三笠書房)だそうです。しかも、古書としてさほど入手困難ではないみたい。鶴田謙二『スピリット・オブ・ワンダー』の方は、私が持っていたのはやはり旧版だった。一勝一敗。
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