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2007年8月の記事

2007/08/13

家族旅行・呉市内編

Kujira

 朝食を食べるとすぐホテルをチェックアウトして、本物の潜水艦の中が見学できるという海上自衛隊呉史料館 / てつのくじら館へ向かった。今年4月にオープンしたばかりで人気が高く、混雑時には整理券を配布して入場制限していると聞いていたので、配布開始の8時45分より少し早めに着くつもりで出かけたのである。到着したのは8時20分ごろで、もうすでに数十人の行列ができていた。写真の通り、潜水艦は建物外にむき出しで展示されている。ゆうしお型潜水艦のあきしおである。全長76mだから軍艦としては小さな部類に属するが、それでも間近で見るとさすがに大きく感じられ、ふつうに自動車が行き交う公道の脇にでんと鎮座している姿は、すごいインパクトがある。前日に引き続いての猛暑で、朝とはいえこのまま日光を遮るもののないところに並んでいるのはつらいなあと思っていたら、10分ほど後に制服の自衛官がゲートを開けて潜水艦の艦首の影の下に誘導してくれて、ほっと一息。そしてまた10分ほど後には、整理券配布どころか正規の開館時間9時を待たずに入場させてくれた。

 館内展示はこちらのとおり、掃海艇と潜水艦についてが中心になっている。展示内容は全体にごくあっさりしたものだったが、扱っている分野が専門的なわりに予備知識なしでも解るようにうまくまとめられていた。また、「これは何かな?」などと話していると、退役自衛官のボランティアであるという係員がすっと近寄ってきて詳しい説明をしてくれる。掃海隊についての展示は、実戦の経験がない海上自衛隊の中ではもっとも実地経験が豊富で功績も大きいといえる部隊なのに任務が地味なため一般にはなじみが薄いので、メインの潜水艦以上に意義深いと思う。

 いよいよ潜水艦あきしおの内部に入ると、聞きしに勝る狭さにびっくり。外から見るとあんなに大きかったのにどうして? と思ってしまうほど。まがりなりにも部屋といえる広さがあるのは発令所のみで、あとは隙間といった方がしっくり来るような感じである。艦長室でさえベッドと小さな机だけでいっぱいいっぱいで、3畳もなかったような。敵艦撃沈を主任務とする攻撃潜水艦とは、極端にいえば隠密魚雷艇というか、隠れて魚雷を運び、ぶっ放すだけの船でしかないということがよく解る。通路も狭いため、今日のように混んでいると後からやってくる人たちに遠慮せねばならないので、じっくり見るのはむずかしい。できるだけ空いている時期に見学すべきだろう。なお、発令所等の中枢部は現在は撮影禁止になっているのだが、オープン当初は撮影できたらしい。

Oosumi


 潜水艦の外に出て館内に戻ると展望ホールになっていて、ガトー級潜水艦とイ400潜の艦橋に装備されていた双眼鏡で呉港を見ることができる。そして、イ400潜の方の望遠鏡を覗くと、なんとおおすみ級輸送艦(艦の識別番号までは確認できなかった)の特徴ある艦橋が大写しに見えるではないか! たぶん狙ってセッティングしてあるのだろう。

 1時間ほどでてつのくじら館の見学を終え、向かい側の呉市海事歴史科学館/大和ミュージアムへ移動した。入館するとすぐ、目玉になっている戦艦大和の10分の1模型がでんと座っている。模型といっても漁船ぐらいの大きさだからそれなりに迫力はあるのだが、てつのくじら館で実物の潜水艦を見た直後だけにやはり見劣りする感は否めない。ついつい模型として見てしまって、「この大きさだともっと汚し塗装をしないと実感に欠けるなあ」とか「どうせなら主砲可動・発射のギミックでも付けてしまえば」などど思ってしまったり……。小さくとも実物の零戦や回天、海竜などの方が、ずっと重々しい存在感があるように感じた。なお、実物の大和のサイズを偲ばせるものとしては、館外の公園に艦橋から艦首までを模った大和波止場があるのと、大通りを挟んで向かい側にある第2駐車場ビル2階に映画『男たちの大和/YAMATO』に使われた副砲塔・高角砲塔・機関砲座のセットが展示されている。

 10時過ぎぐらいから見学客がどんどん増えてきて、かなり混雑した状況になってきた。大和模型や零戦などの大型展示物コーナーはそれほどでもないが、軍港として発展した呉の歴史と大和との関係を語るコーナーの方は、昨日の広島平和記念資料館と同じく低い位置にモニターを設置してVTRを流しているところがいくつもあって、やはり人の流れが滞る。また、市が経営している博物館だから仕方ないのかもしれないけれど、そもそも戦艦とは何かとか、戦艦として大和はどうなのかというような説明はほとんどないのがやや物足りなかった。宇宙戦艦ヤマトの模型が置かれているのはまあご愛敬としても、松本零士の業績を讃える展示は要らんでしょう。

Submarins

Umigiri

Muroto

 呉港は海上自衛隊の基地になっているのだが、てつのくじら館や大和ミュージアムの近辺には掃海隊や練習艦、タグボート等の支援艦艇がいるぐらいで、現役の護衛艦や潜水艦を見るにはもっと南の波止場に行かなければならない。JR呉駅前の食堂で昼食を採ってから、バスに乗り、潜水艦隊が間近で見られるというアレイからすこじまに行ってみた。間近といっても自衛隊の施設だから桟橋まで入れるわけではなくて、フェンス越しにのぞき込むだけである。艦艇まで距離があるので、オペラグラスや望遠鏡が必ず必要になる。私は3倍のオペラグラスを持って行ったが、もう少し倍率の大きなものを用意すべきだったと感じた。画像はパナソニックの400万画素光学3倍ズームのデジカメLUMIX DMC-LS1で撮影したもので、肉眼で見るだけではここまで迫力はない。それでも潜水艦や護衛艦がごろごろ停泊している様は壮観だった。中には機雷敷設艦もいたりして、てつのくじら館で掃海部隊についての展示を見た直後だったのでなんだか変な気持ちになった。

 私一人ならここで終日でも過ごしていられるのだが、家族連れだとそうはいかないのでほどほどで切り上げて広島市内に戻り、夕方には新幹線で帰阪した。もう一日余裕があれば、呉には江田島や海軍関係の史跡など見どころが多いのだけど、子供たちが退屈するのが目に見えているので家族旅行ではなかなか難しい。それと、とにかく暑さに悩まされた。自分ももう若くないし、これからは夏休みの旅行は避暑地か水遊びで考えないとつらいかもしれない。

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2007/08/12

家族旅行広島・宮島編

 お盆休みということで、家族5人で広島・呉に一泊旅行をしてきた。本命のお目当ては実物の潜水艦の内部が見られると話題になっている呉の「てつのくじら館」なのだけど、たいへんな混雑のため朝から並ばないといけないそうで、初日は広島市内と宮島を観光して夕食後呉に移動、2日目に「てつのくじら館」と「大和ミュージアム」を見学するという日程にした。

 10時すぎに広島駅に着くとまず土産物売り場を覗き、隠れた広島名物と伝え聞く「せんじ肉」を1袋購入した。これは豚の胃を煮詰めて揚げたもので、独特の珍味だというのである。ところがネットでは美味いという意見とちょっと勘弁という意見が混在していて、実際どうなのか気になっていた。案外、大阪では子供がおやつにしているホルモン焼に近いものかもと思ったり……。さっそく食してみると(下品にも歩き食い)、塩辛い味付けの固く粘り気のある肉で、くちゃくちゃしがむほどに旨味がしみ出してくる。いかにも内臓らしいくせはあるものの、ホルモン焼のようなべたべた泥臭い味と比べると、ごく上品だといっていいぐらい。おやつとしては塩辛すぎる気がするしご飯のおかずには固いので、お酒のあてにするのが最適かも。

 続いて宮島に移動し、厳島神社を見物。ところが、あまりの暑さと移動時間が長くて退屈してきたせいか、小学2年生の三男がえらく不機嫌になってしまった。もともとこらえ性のない男なので、そういうこともあるだろうとは思っていたが、こうも早いとは……。まあ外を歩くにはあまりにも暑かったこともあり(この夏最高の暑さだったらしい)、ほどほどで切り上げて近くの店で昼食にした。名物のあなごめしである。これはびっくりするような旨さだった。脂がよく乗っているがウナギほどくどくなく、香ばしい。これまで食べてきたアナゴ料理とはぜんぜん別物で、値段の相場は1500~2000円ぐらいとやや高めだが、それだけの値打ちはある。ちなみに、私たちが食べたのは「いな忠」という店。店によって調理の仕方が多少違ったりするらしい。

 また広島市街に戻り、原爆ドームへ。印刷物や映像では見慣れている建物だが、生で見るとまた違う感銘がある。実物のドームと平和記念公園を含めた周囲の空間の広がりに触れ、原爆投下後の廃墟と化した広島市街の写真を対比することで、原爆の破壊力がより具体的にイメージすることができるように思う。この後、私と長男次男は広島平和記念資料館へ、妻と三男は広島市こども文化科学館へと二手に分かれた。広島観光に来て平和記念資料館を外すわけにはいかないのは当然として、まだ幼く人一倍臆病な三男には、原爆の被害の生々しい展示は刺激が強すぎるだろうと判断したのである。だからこそ教育的な効果は大きいという考え方もあろうが、同じくらい恐がりだった私の子供時代の反応の記憶に照らし、迷った末に決めたのだ。

 平和記念資料館はお盆休みだけに非常に混雑していて、三男と同じ年ごろの子供もちらほらいた。三男も連れてきた方がよかったのかなあと、また思ってしまった。館内では、自分にできる範囲だけでも子供たちに解説してやろうと思っていたのだが、ほとんどできなかった。紋切り型の表現だけど、事実の重さにやはり言葉を失ってしまうのである。ただ、明日は呉で潜水艦や戦艦の展示を見に行くわけだが、それらも規模こそ違えど原爆と同じ兵器であることには変わりなく、使われれば人がむごたらしく死ぬということと、そういう力を持つべきかどうか行使すべきかどうかは、自分で考えて自分で判断しなければならないということだけは、はっきりと伝えた。例によって、「またややこしいこというてんなあ」てな反応だったが。

 平和記念資料館そのものの意義には疑問の余地はないが、展示の方法については改善すべきところもあるように感じた。VTRに依存している展示が多いために、この日のような混雑時には、客の流れがひどく滞るのである。入館してすぐのところにもう長いVTRがあって、なかなか前に進めないのには参った。その後も、VTRモニターがある度に人溜まりができてしまっていて、しかもモニターが低い位置にあるために後ろからは何も見えないこともあった。また、原子爆弾の原理やメカニズムについての解説がわかりにくいことや、原子力発電に関する議論や核兵器の拡散傾向についてなど現代の核問題の関する展示の不足なども、物足りなく思った。原子力問題を絡めるのは、いろいろと差し障りがあるのだろうけど。より根元的な問題というべき、非戦闘員を標的とする戦略爆撃の是非についても言及があっていいように思うが、そこまでやると手を広げすぎだろうか。

 原爆ドームに戻り妻たちと落ち合って、市街を散策しつつ広島駅方面へ向かった。夕食は駅近くのビルで広島風お好み焼き。確かに慣れ親しんでいる関西のお好み焼きとは似て非なる料理で、これもまた旨い。具材を混ぜ込まず薄皮の生地に挟んで焼くので、具材も混ぜてパンケーキ状に焼く関西風と比べると、焦げ付かないようにするのには技量が必要とされるのではないだろうか。夕食後JR呉線で呉市に移動して、ホテルにチェックイン。

 とにかく暑い一日だった。歩いているだけで汗をびっしょりとかき、へとへとになってくる。色の濃い服を着ていたので、汗の塩分が白く結晶してくるほど。そこで意外にも役だったのが、せんじ肉だった。味見のために開封したものを道々口に放り込んで、塩分を補給したのである。しかし、カロリーを考えると問題ありですな。携帯用梅干しとかにしないと。食事の度に生ビールをがぶ飲みしてるし、これではいくら歩いても汗かいても痩せませんって。

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2007/08/05

『トランスフォーマー』

 小学2年生の三男と、TOHOシネマズなんばで『トランスフォーマー』の日本語吹替版を見てきた。

 はっきりいっておバカな映画です。メインのストーリーは、さえない少年が父親にオンボロの中古車を買ってもらったら、これがなんと宇宙からやってきた正義の変形ロボットで、実は少年に地球の命運がかかっているのが判って、地球を救いつつあこがれのクラスメートと結ばれて万々歳という、なんともかんともなお話。これに悪の変形ロボット軍団と渡り合う米軍&政府機関というサイドストーリーが絡んでいくんだけど、実物の兵器がバンバンでてくるわりに考証もへったくれもなくリアリティ皆無。「高熱のAPDS弾」って何だよ? 悪のロボット軍団が狙ってる謎のキューブを秘密機関の基地から持ち出して、「近くの街に隠しましょう!」って、わざわざ市民を戦闘に巻き込み騒ぎを大きくしているではないか。

 えげつない下ネタてんこ盛りのベタなギャグがしつこく繰り返されるので、子供と一緒に見てるのが恥ずかしくなる瞬間もしばしば。つまらん人間ドラマをくどくど見せるわりに正義のロボットたちのキャラクター描写はあっさりめで、主人公の少年の車に化けたやつとリーダー以外は、誰が誰やらよくわからないとは何ごと? これじゃオモチャも売れませんぜ。しかも上映時間は約2時間半って、うちの息子はお便所の限界すれすれだったよ。ロボットヒーロー映画なのに、お子様に配慮しないでどうするのか。

 だが、だがしかし! 巨大ロボットが自在に変形しながら暴れまくるCGの凄さの前には、決して些細とはいえないこれらの難点も霞んでしまうのだった!! メタリックなロボットの動きの速いアクションが多いのは質感表現がまだまだ難しいCGの弱点をごまかす狙いがあるのだろうが、自在にアングルを変えつつ走り回るカメラワークが巧みで、観客もロボットとともに疾走しているかのような錯覚を与えることに成功している。私は世代的にこの映画の元になった玩具やアニメには縁遠くて特に思い入れもないのに、鋼鉄の塊の群れが飛び交い激突し合う破壊の嵐というべきクライマックスの市街戦の大迫力には、不覚にも涙しそうになった。理性は「こんなバカ映画に」といっているのだが、すさまじい映像のつるべ打ちに巨大なロボットやヒーローを見て育ってきた血と肉が否応なく震えてしまうのである。キューブを街に隠そうとしたおマヌケ大尉よ、あんた軍人失格だが漢だよ。ありがとう!

 繰り返すが、これはバカ映画である。ちゃんとした完成度の高い映画を楽しみたいと思っている人には決してお勧めできない。しかし、かつて巨大なロボットやヒーローに熱狂したことがある人、あるいは逆に今さら巨大なロボットやヒーローなんてと思っている人には、ぜひとも劇場の大スクリーンでこの映像を体験してみることをお勧めする。われわれ日本人が生み出したこのジャンルで、まだまだできること、やるべきことがあることがはっきりと判るだろう。斜に構えて『大日本人』なんか作ってる場合じゃないのである。

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2007/08/04

『神野悪五郎只今退散仕る』ほか

 例によって更新が滞っておりますが、最近読んだ怪奇幻想系の新刊をまとめて。

高原英理『神野悪五郎只今退散仕る』(毎日新聞社)[bk1][Amazon]
 書名から判るとおり、稲垣足穂が『稲生物怪録』を元に書いた『山ン本五郎左衛門只今退散仕る』を本歌取りした小説である。ただし、原典の主役が15歳の少年なのに対して本書では13歳の少女であり、妖怪の首魁は山ン本五郎左衛門のライバルとして名前のみ挙がっていた神野悪五郎に変えられている。また、原典では山ン本の来訪は稲生平太郎少年にとっていわれのない椿事だったが、神野が本書の主人公夕凪紫都子を訪れるのには、紫都子の祖母以来の因縁がある。若かりしころ男勝りの女傑であった紫都子の祖母は、仲間の妖怪を取り込んでしまった怨霊を祓うことを神野に依頼されたものの果たせなかった。怨霊と妖怪の混合体はますます強大になり、今や人間の世界と妖かしの世界両方を脅かすほどになった。それを孫で女傑の血統を嗣いでいる紫都子に祓わせようというのである。
 この怨霊との戦いが、超常的な能力の衝突というよりも、己がどれだけ独立独歩で充足している主体であるかの競いあいなのがおもしろい。かつての対決時にすでに一児の母であった祖母は、子供の身を案じた一瞬の隙を突かれて敗退した。しかし、少女である紫都子は子供の弱さを脱していながら大人のような我が身を縛るしがらみを持たない自由な身であるために、所詮怨みごとが動機の怨霊となら五分に渡り合えるのである。現実を拒む魂を夢で優しく慰撫する結末といい、いかにも『ゴシックハート』の著者らしい妖怪ファンタジーだった。
 もちろん、そんなややこしいことを考えずに、ヒロインの豪快さんぶりに感嘆したり、愛らしい妖怪たちに萌えつつ読むのもありだろう。宇野亜喜良による可愛いカバー付き。

ジャック・ウィリアムスン『エデンの黒い牙』(創元推理文庫)[bk1][Amazon]
 人狼もののホラー長篇で、海外ではこの分野の古典的名作の一つに数えられながら長らく未訳だったもの。著者はSF畑の人で『アンノウン』誌掲載作だからネタもその転がし方もSF味が強く、ミュータント・テーマのSF長篇としても読める。古典の悲しさというべきかミステリ・タッチでありながら真相はわりと簡単に推測できてしまうのが惜しいが、人外の存在の悦びと悲しさをよく描いて単純なヒューマニズムに陥らないでいるあたり、キング以降のモダンホラーの水準よりもよほど新しいといえよう。きびきびした語り口で最後まで飽きずに読ませ、なぜもっと早く邦訳されなかったのかつくづく不思議になるほどである。古めの長篇ホラーの中には、このように海外での評判が高いのに未訳のままの作品がまだまだあるので、どんどん邦訳して欲しいものだ。

アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』(国書刊行会)[bk1][Amazon]
 あのアルフレッド・ベスターの未訳長篇である。こちらは実際に読んでみて、これまで未訳だったわけがよく解った。代表作『虎よ、虎よ!』に顕著なように、ベスターの作品は大胆不敵なアイデアと実験的な表現技法を盛り込みながらも、エンターテインメント小説としてのバランスもうまく保っているところが魅力だった。ところが本書は、その一線を越えてしまっている。過剰な言葉遊びといい、下ネタ連発の猥雑さといい、タイポグラフィにとどまらずイラストや楽譜までがバンバン入る視覚効果といい、破天荒さこそが作者の狙いだとは思うが、それについて行けるかどうかは意見が分かれそうだ。SFというより幻想的な現代文学に味わいが近く、『虎よ、虎よ!』のベスターだとかいう先入観を捨てて読んだ方がいいのかも。

村上健司・文/作田えつ子・絵『妖怪モノノケBOX しんみみぶくろ1』(メディアファクトリー)[bk1][Amazon]
田中裕・文/和田みずな・絵『幽霊屋敷ノート しんみみぶくろ2』(メディアファクトリー)[bk1][Amazon]
 この2冊はメディアファクトリー編集部よりご恵贈いただきました。ありがとうございました。
『新耳袋』から抜粋したエピソードをテーマ別にまとめ、子供向けにリライトしたシリーズ。対象年齢は小学校の高学年ぐらいだろうか、当たり前の話ではあるが、同じ話でも書き方によってマイルドになるんだなと実感した。可愛らしいイラストをふんだんにちりばめられている凝ったデザインの本で、子供に道を違えさせるには(笑)恰好の怪談入門書になりそうだ。

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