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2006/12/07

怪談専門誌『幽』第6号

 メディアファクトリーより、怪談専門誌『幽』第6号[bk1][Amazon]の見本誌が届く。今号の第一特集は「江戸の怪」、第二特集は「決定 第1回『幽』怪談文学賞」。詳しい内容は先ごろ開設された『幽』公式サイト「WEB 幽」こちらのページをどうぞ

 私は今回は、東雅夫編『文豪怪談傑作選 吉屋信子集 生霊』(ちくま文庫)[bk1][Amazon]の書評させていただいた。この作品集には厳密にいうと怪談ではない作品も収録されていて、むしろ狭義の怪談の数の方が少なくなっている。私は掲載誌に鑑みあくまで怪談本として評したために触れなかったのだけど、この怪談でない収録作がまた、怪談でないためにますます異様な小説になっていて実におもしろいのである。怪談にさほどこだわりがない読者でもきっと楽しめるはずの本なので、ぜひともご一読を。

 それと、第二特集の『幽』怪談文学賞の一次選考をお手伝いしたので、受賞作のうち水沫流人『七面坂心中』だけは事前に読んでいる。最終選考会のレポートを読んでもやや判りにくいかもしれないが、これも厳密には怪談ではない。怪談を契機に物語が転がっていくし怪異もちゃんと起きるので、これぞ「怪談文学」と呼ばれるのに相応しいのかもしれないけれど、幻に生き幻に殉ずる幽霊のような人々を描いたというか、とにかく不思議な小説であった。大胆な趣向の連続と先が読めない展開にぐいぐい引き込まれてあっという間に読了したものの、何だか茫然としてしまってすぐにもう一度読み返し、その後〆切が迫って最終的に評価を定める直前にまた読んでと、都合三度も読まされてしまった。怪談どころか、現在広くもてはやされている娯楽小説とはそもそも筆法がかけ離れているようにも思われ、出版されたらいったいどういう評価を受けるのか、興味津々である。

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